FX初心者シリーズ「FXを始める前の基礎」01
FX(エフエックス)で最初につまずきやすいのは、「何を売買しているのか」が見えにくいことです。
取引画面には「USD/JPY」「EUR/USD」のような英字が並びます。初めて見ると、これだけでも難しそうに感じるかもしれません。
でも、最初に覚えることは多くありません。
まずは、
- 通貨ペアは何を表しているのか
- 買いと売りで利益や損失がどう変わるのか
- FXでは利益だけでなく損失も出ること
この3つが分かれば、次の学習へ進むための土台になります。
この記事では、難しい計算や取引テクニックにはまだ進みません。FXでは何を取引するのか、表示をどう読むのか、なぜ利益や損失が出るのかを、取引を始める前に知っておきたい範囲に絞って説明します。
FXは2つの通貨を売買する取引
FXは「Foreign Exchange(フォーリン・エクスチェンジ)」に由来する呼び方です。英語で「外国為替」を表します。
日本で一般にFX取引という場合は、取引業者に証拠金を預け、米ドルと日本円など2つの通貨を売買する外国為替証拠金取引を指します。証拠金とは、取引のために預ける資金のことです。
為替レートとは、異なる通貨を交換するときの比率です。たとえば「1米ドル=150円」なら、1米ドルと150円を交換できる比率を表します。
為替レートは一定ではなく、市場でどれだけ買いたいか、どれだけ売りたいかという需要と供給のバランスなどによって動きます。
通貨ペアは左と右の2通貨で読む
FXでは、売買する2つの通貨の組み合わせを通貨ペアと呼びます。取引画面では、USDやJPYのような3文字の英字(通貨コード)を「/」で区切って表示するのが一般的です。
- USD/JPY(米ドル/円):1米ドルが何円かを表す
- EUR/USD(ユーロ/米ドル):1ユーロが何米ドルかを表す
通貨ペアは、左側の通貨1単位が、右側の通貨でいくらかを示します。たとえばUSD/JPYでは、左のUSD(米ドル)1単位の価格を、右のJPY(円)で表します。
USD/JPYが150.00なら「1米ドル=150円」、EUR/USDが1.1000なら「1ユーロ=1.10米ドル」という意味です。ここでの数値は読み方を示す例であり、現在の為替レートではありません。
円高・円安は円の価値で考える
円高は、ほかの通貨に対する円の価値が高くなることです。円安は、円の価値が低くなることを指します。
USD/JPYで考えると、1米ドル=150円から140円になった場合、同じ1米ドルを以前より少ない円で交換できます。これは円高・米ドル安です。反対に、150円から160円になれば、1米ドルとの交換により多くの円が必要になるため、円安・米ドル高です。
「数字が下がったのに円高」と聞くと混乱しやすいのですが、USD/JPYの数字は1米ドルの価格を円で表したものです。数字の上下だけでなく、どちらの通貨の価値を見ているかを確認すると整理できます。
FXは「買い」からも「売り」からも始められる
FXでは、通貨ペアの値上がりを見込むなら買い、値下がりを見込むなら売りから取引を始められます。USD/JPYを例にすると、次の関係です。
| 始め方 | 取引の意味 | 利益につながる方向 | 損失につながる方向 |
|---|---|---|---|
| USD/JPYを買う | 米ドルを買い、円を売る | USD/JPYが上がる | USD/JPYが下がる |
| USD/JPYを売る | 米ドルを売り、円を買う | USD/JPYが下がる | USD/JPYが上がる |
買いから始める場合
USD/JPYを買い、買ったときより高いレートで売って取引を終える(決済する)と、その価格差は利益の方向に働きます。反対に、レートが下がったところで決済すれば損失の方向です。
売りから始める場合
USD/JPYを売り、売ったときより低いレートで買い戻せば、その価格差は利益の方向に働きます。反対に、レートが上がったところで買い戻せば損失の方向です。
実際の損益は価格差だけでは決まりません。取引数量やスプレッドなども影響します。「方向を当てれば、動いた分がそのまま利益になる」という仕組みではない点に注意が必要です。
利益と損失の大きさは取引数量でも変わる
為替レートが同じだけ動いても、取引する通貨の数量が多いほど、利益も損失も大きくなります。取引画面では、数量をロット(Lot)という単位で指定することがあります。
ただし、1ロットが何通貨を表すかは取引サービスや商品によって異なります。ロット数だけで判断せず、実際に何通貨を取引する設定なのかまで確認する必要があります。ロットと損益の具体的な関係は、後続の記事で詳しく説明します。
FXにはスプレッドなどの取引コストがある
FXの取引画面には、通常、売るときの価格と買うときの価格が別々に表示されます。この2つの価格差がスプレッドです。買う価格と売る価格に差があるため、取引を始めた時点から、この差が取引コストとして損益に影響します。
スプレッドは常に同じとは限りません。相場が急に動いたときや取引が少ない時間帯などには広がることがあります。サービスによっては、別途手数料がかかる場合もあります。
pips(ピップス)、Bid(ビッド)、Ask(アスク)を含む価格表示の読み方は、次の記事で詳しく説明します。
レバレッジは利益だけでなく損失も大きくする
FXでは、預けた証拠金より大きな金額を取引できる仕組みがあります。これをレバレッジと呼びます。
レバレッジを使うと、少ない証拠金で大きな取引ができます。しかし、損益は証拠金の額ではなく、実際に取引した金額に応じて動きます。そのため、利益が大きくなる可能性だけでなく、損失が急速に膨らむ危険もあります。
「少ない資金で始められる」ことと「安全に取引できる」ことは同じではありません。レバレッジと証拠金の計算、取引規模との関係は、後続の記事で詳しく説明します。
ロスカットがあっても損失額は保証されない
取引を終える前でも、レートが予想と反対に動くと、損失が出ている状態になります。この未確定の損失を含み損といいます。
含み損が一定の水準に達したとき、取引業者が保有中の取引を強制的に決済する仕組みがロスカットです。損失の拡大を抑えるための仕組みですが、損失を必ず決められた金額で止める保証ではありません。
金融庁は、相場が急激に変動した場合、ロスカットが適用されても証拠金を上回る損失が生じることがあると注意喚起しています。自分で損失を抑えるために取引を終える「損切り」との違いは、後続の記事で詳しく説明します。
FXを学ぶ最初の段階で押さえたいこと
FXは、2つの通貨の交換比率が動くことで損益が生じる取引です。買いからも売りからも始められますが、予想と反対に動けばどちらでも損失になります。さらに、取引数量、スプレッド、レバレッジが損益へ影響します。
今の段階では、通貨ペアの表示を読めることと、買い・売りのどちらでも損失が出ることまで分かれば十分です。価格表示、取引数量、証拠金、損失を制限する考え方は、後続記事で順番に扱います。
次は、取引画面に表示されるpips・スプレッド・Bid・Askの意味を確認すると、同じ通貨ペアに2つの価格がある理由が分かるようになります。
