FX初心者シリーズ「FXを始める前の基礎」04
前の記事では、ロットを実際の通貨数量へ直し、値幅と組み合わせて損益額を考えました。
FX(エフエックス)では、その取引数量を金額へ換算すると、口座へ預けた資金より大きくなることがあります。ここで出てくるのが、証拠金とレバレッジです。
ただし、取引金額、証拠金、必要証拠金、レバレッジは、それぞれ別のものを表します。
この記事では、次の4点に絞って説明します。
- 取引数量を取引金額へ直す方法
- 証拠金と必要証拠金の違い
- 取引金額と証拠金からレバレッジを考える方法
- レバレッジと価格差による損益の関係
証拠金維持率やロスカットの詳しいルール、適正な取引数量の決め方にはまだ進みません。適正な取引数量を考えるには、口座資金、許容損失額、損切り幅、証拠金維持率なども合わせて見る必要があるため、ここでは前提となる証拠金とレバレッジの基本に絞ります。
取引数量を金額へ直すと取引規模が見える
取引数量は、何通貨を取引するかを表します。取引金額は、その数量を為替レートで金額へ換算したものです。
USD/JPYを10,000通貨、1米ドル=150円で取引する例では、次のように計算できます。
150円×10,000通貨=1,500,000円
この取引の金額規模は150万円です。口座から150万円を支払ったという意味ではなく、150万円相当の取引を持つという意味です。
ロットと通貨数量の関係がまだ曖昧な場合は、先にロットと取引数量の基本を確認すると、この計算を追いやすくなります。
USD/JPYでは円換算を前から計算できますが、通貨ペアの右側が円でない場合や口座の通貨が異なる場合は、別の為替レートを使った換算が必要になることがあります。
証拠金は取引のために差し入れる資金
証拠金は、FX取引のために口座へ差し入れる資金です。取引の担保に相当します。
一般的な国内FXは、外貨そのものを受け渡す両替とは異なり、証拠金を差し入れ、主に反対売買による価格差を受け渡す証拠金取引です。この仕組みにより、取引金額と同額の資金を最初に用意しなくても取引が成立します。
一方、必要証拠金は、その取引を持つために必要となる証拠金額です。口座へ預けた資金の全額と、必要証拠金が同じとは限りません。
必要証拠金は取引金額と証拠金率から考える
必要証拠金は、取引金額に適用される証拠金率を使って計算する方法があります。
必要証拠金=取引金額×証拠金率
先ほどの150万円相当の取引に、証拠金率4%という条件を当てはめると、次の結果です。
| 確認する項目 | 説明用の条件・計算 |
|---|---|
| 為替レート | 1米ドル=150円 |
| 取引数量 | 10,000通貨 |
| 取引金額 | 150円×10,000通貨=1,500,000円 |
| 必要証拠金 | 1,500,000円×4%=60,000円 |
この条件では、150万円相当の取引を持つための必要証拠金は6万円です。為替レートや取引数量、適用される証拠金率が変われば、必要証拠金も変わります。
日本国内の個人向けFXには、取引金額の4%以上の証拠金を求める規制があり、倍率に換算すると上限は25倍です。この個人向け規制は、店頭FXと取引所FXの両方が対象です。
ただし、実際の証拠金の決め方は同じとは限りません。個人の店頭FXでは取引金額に対する証拠金率で示されることがあり、取引所FXでは取引所が規則に基づいて証拠金基準額を算出します。法人向けの店頭FXでは、個人向けとは別に、通貨ペアごとに証拠金率が算出されます。海外サービスを含むFX全体の世界共通ルールではありません。
また、国内個人向けでも、実際の必要証拠金はサービスや商品が示す最新の取引条件で確認する必要があります。
証拠金率の25倍と実効レバレッジを分けて考える
レバレッジは、取引金額が基準にする資金の何倍かを表す考え方です。
ここまでの25倍は、証拠金率4%を取引金額÷必要証拠金として倍率へ換算した数字です。1÷0.04=25で、先ほどの例でも150万円÷6万円=25倍となり、国内個人向け制度の上限に対応します。
一方、実際に保有している取引金額が、口座の資産に対して何倍になっているかを見る方法もあります。一般に実効レバレッジと呼ばれる倍率です。
ここでは関係を理解するため、評価損益などを考えない単純な例として、口座資金15万円と30万円を使います。
| 説明用の口座資金 | 取引金額 | 口座資金に対する倍率 |
|---|---|---|
| 150,000円 | 1,500,000円 | 10倍 |
| 300,000円 | 1,500,000円 | 5倍 |
どちらも取引数量は10,000通貨で、4%条件の必要証拠金は6万円です。しかし、基準にする口座資金が異なるため、この単純例の実効レバレッジは10倍と5倍に分かれます。
実際の取引画面では、評価損益などを反映した有効証拠金や口座資産を分母に実効レバレッジを表示するサービスがあります。有効証拠金は、口座残高に未確定の利益・損失などを反映した資産です。画面の名称だけで判断せず、何を分母に計算しているかを利用するサービスの説明で確認してください。
同じ取引数量ならレバレッジだけで損益は変わらない
レバレッジを「利益や損失を自動的に何倍かにする機能」と考えると、取引数量との関係を見失いやすくなります。
USD/JPYを10,000通貨取引し、一般的な読み方で5 pips(ピップス)、つまり0.05円動いた場合、スプレッドなどを含めない価格差による損益は次の計算です。
0.05円×10,000通貨=500円
同じ通貨ペア、同じ10,000通貨、同じ5 pipsなら、上の単純例で実効レバレッジが10倍でも5倍でも、価格差による損益は500円です。買った後に上がれば利益方向、下がれば損失方向となり、どちらも金額の大きさは同じです。
レバレッジによって証拠金に対して大きな取引が可能になり、実際に取引数量を増やせば、同じ値幅でも利益と損失の金額がともに大きくなります。損益額を直接計算するときは、レバレッジの数字だけではなく、実際の取引数量と値幅を確認する必要があります。
必要証拠金は最大損失額ではない
必要証拠金6万円という例は、「最大でも6万円しか損をしない」「6万円は失ってもよい金額」という意味ではありません。必要証拠金は、その取引を持つために必要な金額であり、損失の上限を示す数字ではないからです。
金融庁は、相場が急激に変動した場合、証拠金の額を上回る損失が生じることがあると注意喚起しています。証拠金維持率やロスカットなど、取引を保有している間の仕組みは、次の段階で詳しく確認します。
取引画面では4つの数字を分けて確認する
証拠金とレバレッジを確認するときは、一つの倍率だけを見るのではなく、次の順番で数字を分けると整理しやすくなります。
- 実際の取引数量は何通貨か
- 現在の価格で取引金額はいくらになるか
- 適用される証拠金率と必要証拠金はいくらか
- 口座資産に対する倍率(実効レバレッジ)はどれくらいか
必要証拠金を満たしていることは、その取引が自分にとって安全であることを意味しません。今の段階では、取引数量、取引金額、必要証拠金、実効レバレッジを別々に確認できることまで分かれば十分です。
次は、取引を持った後に口座の証拠金の状態がどう変わり、どのような条件で取引が終了されることがあるのかを確認すると、必要証拠金が損失上限ではない理由をさらに具体的に理解できます。
