FX初心者シリーズ「FXを始める前の基礎」03
前の記事では、pips(ピップス)を使うと、為替レートがどれだけ動いたかを表せることを確認しました。
ただし、「5 pips動いた」と分かっても、それだけでは利益や損失が何円になるかは決まりません。損益額を考えるには、値幅に加えて、実際に何通貨を取引しているかを確認する必要があります。
取引画面では、この取引数量をロットで指定することがあります。0.1ロットや1ロットという数字だけを見ても取引の大きさが分かりにくいのは、1ロットが表す通貨数量がすべてのサービスで同じとは限らないためです。
この記事では、次の3点に絞って説明します。
- ロットと実際の取引数量の違い
- 同じpipsでも、取引数量によって損益額が変わる理由
- ロット数を見るときに確認したい条件
証拠金やレバレッジの計算、何ロットが適切かという判断にはまだ進みません。
pipsだけでは損益額が決まらない
pipsは値動きの幅を表します。たとえばUSD/JPYが150.00円から150.05円へ動いた場合、値幅は0.05円です。1 pips=0.01円という一般的な読み方では、5 pipsの変化になります。
ここで必要になるのが取引数量です。1,000通貨を取引した場合と10,000通貨を取引した場合では、同じ0.05円の値動きでも損益額は同じになりません。
価格表示とpipsの読み方を先に確認したい場合は、pipsと価格表示の基本から読むと、この先の計算を追いやすくなります。
ロットは取引数量をまとめて表す単位
ロットは、取引数量をまとめて表すために使われる単位です。
USD/JPYを10,000通貨取引する場合、左側の通貨である米ドルを10,000単位取引することを意味します。取引画面によっては、この数量を通貨数ではなくロット数で指定します。
ただし、ロット数だけでは実際の通貨数量を確定できません。ロット数を通貨数量へ直すには、そのサービスや商品の1ロットが何通貨に設定されているかを確認する必要があります。
1ロットが何通貨かは一律ではない
FX(エフエックス)では1ロットを10万通貨とする例がありますが、これをすべてのサービスに当てはめることはできません。
公式資料を確認すると、次のように定義が異なります。
| 公式資料の例 | 数量の扱い |
|---|---|
| cTrader | FXでは1ロットが通常10万通貨とされる一方、正確な契約サイズはブローカーが定め、銘柄によって異なる場合がある |
| OANDA証券 | 同社では1ロット=10万通貨。利用する取引ツールによっては通貨数量をユニットで指定する |
| 外為どっとコム | 同社の多くの通貨ペアでは1ロット=1,000通貨。一部の通貨ペアでは1ロット=10,000通貨 |
| くりっく365 | ロットではなく「1枚」を売買単位とし、USD/JPYは1枚=10,000通貨。通貨ペアやラージ商品では10万通貨単位のものもある |
この違いがあるため、「1ロットだから大きい」「0.1ロットだから小さい」と、数字だけで取引規模を決めつけることはできません。
ロットを通貨数量へ直す
仮に、あるサービスで1ロット=100,000通貨と定められている場合は、次の関係になります。
| ロット数 | 実際の取引数量 |
|---|---|
| 0.01ロット | 1,000通貨 |
| 0.1ロット | 10,000通貨 |
| 1ロット | 100,000通貨 |
これは1ロット=100,000通貨と定められたサービスでの例です。1ロット=1,000通貨のサービスには、そのまま当てはめられません。
取引前に見るべきなのは、ロットの数字だけではなく、注文画面や取引条件に示された実際の通貨数量です。
同じ5 pipsでも取引数量で損益額が変わる
USD/JPYを買い、150.00円から150.05円へ上がったところで決済したとします。値幅は0.05円、一般的な読み方で5 pipsです。
このとき、スプレッドなどを含めない単純な価格差による損益は、次のように計算できます。
損益額=価格の変化幅×取引数量
| 取引数量 | 計算 | 価格差による利益 |
|---|---|---|
| 1,000通貨 | 0.05円×1,000 | 50円 |
| 10,000通貨 | 0.05円×10,000 | 500円 |
| 100,000通貨 | 0.05円×100,000 | 5,000円 |
値幅はすべて同じ5 pipsですが、取引数量が10倍になると、価格差による損益額も10倍になっています。
反対に、USD/JPYを買った後に150.00円から149.95円へ下がれば、同じ5 pipsでも損失方向です。1,000通貨なら50円、10,000通貨なら500円、100,000通貨なら5,000円の損失に相当します。
売りから始めた場合は、価格が下がると利益方向、上がると損失方向になります。取引数量が大きいほど、利益だけでなく損失も同じ割合で大きくなる点は変わりません。
pipsから損益額を考える基本関係
USD/JPYで1 pips=0.01円と読む条件なら、先ほどの計算は次の形でも表せます。
損益額=0.01円×pips数×取引数量
5 pips、10,000通貨なら、0.01円×5×10,000=500円です。
この式で大切なのは、pips数だけでは計算が完了しないことです。1 pipsが表す値幅と、実際の取引数量をそろえて初めて金額へ直せます。
通貨ペアや口座の通貨が変わると、損益が別の通貨で発生し、口座通貨への換算が必要になる場合があります。今はUSD/JPYの円建て例で、取引数量が損益額へ直接影響する関係まで理解できれば十分です。
ロット数だけで取引リスクを判断しない
取引数量が少なければ、同じ値幅に対する損益額は小さくなります。しかし、それだけで「安全」とは判断できません。
実際の損失額は、取引数量だけでなく、決済までに価格がどれだけ動いたか、スプレッドや手数料がどれくらいかなどによって変わります。さらに、口座資金や証拠金との関係を見なければ、その損失をどの程度負担できるかは分かりません。
そのため、「初心者なら何ロット」と固定値を覚えるより、まず次の順番で確認する方が誤解を減らせます。
- 利用するサービスで1ロットが何通貨か確認する
- 注文画面で実際の取引数量を確認する
- 想定する値幅を使って、利益と損失の両方を金額に直す
ロットについて今確認できればよいこと
ロットは、取引数量をまとめて表すための単位です。ただし、1ロットが何通貨かはサービスや商品によって異なるため、ロット数だけでは実際の取引規模を判断できません。
また、pipsは値幅を表しますが、損益額へ直すには取引数量が必要です。同じ5 pipsでも、1,000通貨と10,000通貨では価格差による損益額が10倍変わります。
今の段階では、ロットを実際の通貨数量へ直し、その数量と値幅を組み合わせて損益額を考えるところまで分かれば十分です。
次は、取引数量から計算される取引金額と、証拠金・レバレッジの関係を確認します。ロット数だけを見て取引できるか、安全かを判断せず、順番に条件を分けて考えていきましょう。
